日本の国債評価と財政指標について [研究分野]

9月28日午後1時30分から、市役所5階の第一委員会室で、1期議員を対象に財政の勉強会を開催した。久しぶりの講義で、資料のパワーポイントを作成するのに、かなりの時間を要してしまった。10年も前なら、1日程度で出来たものが、1週間もかかった。自分の能力が落ちてきている事を実感した。
しかし、自分なりに一から整理し、それは、それで得るところはあったように思う。

さて、勉強会当日を向かえ、何とか無事終えることが出来たが、果たして議員諸氏の役にたったかどうかは分からない。ただ、理論と実践の中で13年間知りえた事は話したつもりである。2回目の勉強会は、決算を前にして、決算書の見方や、財政の重要用語の説明を予定している。

日本の国債評価について
注目すべきは、10年前と比較し財政指標がかなり整備されえきていることだ。これまで、私は財政の連結評価の重要性を指摘してきた。一向に動かない総務省にイライラしていた。それが、夕張の崩壊で一気に進んだ気がする。「改革は地方から」と叫んでいるが、やはり日本は、自由主義・資本主義国家における超中央集権国家である。中央が動けば地方は従う。地方からの改革提案が果たして中央を動かした事があるだろうか?許認可権と補助金による地方自治体の中央主導は今後も続くだろう。残念な事だがこの国と地方の関係を逆転させるには、やがて来る、国家の財政破綻の時しかないのかもしれない。国と地方の債務残高が国民の預金をまもなく超えるだろう。イタリヤやギリシャをはるかに越える債務残高(対GDP比で)の中で、日本の国債がアメリカに次ぐ格付けを維持できているのは、この貯蓄額にある。日本の国債にディフォルトの危険性がないのもこの貯蓄の裏づけがあるからだ。
国債の償還が来ても、新たな国債の引き受けて(金融機関や国民)が存在する限り、ディフォルトの心配はない。しかし、それも後5年程度ではないかと思う。

自治体の財政評価指標について
夕張の崩壊以降、財政評価指標が整備された。
特に、将来負担比率が標準財政規模の3.5倍(350%)になればイエローカードとなる。将来負担比率の分子には、起債残高や退職に要する金額等、ある時点で自治体が負担しなければならない負債の合計を、一般会計だけでなく、債務負担している関係団体(もちろん、特別会計や企業会計も含む)全てをトータルして算出している。
この発想は評価できるが、何故、3.5倍がイエローカードなのか明確な基準はない。
自治体財政の重要指標である経常収支比率も、10年前は75%未満が健全と言われていた。しかし、いつの間にか85%以下が健全と言われるようになった。基準がない。
何を持って健全か不健全かの判断が示されていないままになっている。ここに大きな問題がある。確かに。経常収支比率が100を超えれば、一般経常収入だけでは自治体の歳出を補う事が出来なくなり、赤字市債は発行できないので、土地を売るか!財政調整基金に頼るか!何かの臨時的財源を充当しないと、職員の給与も支払えないことになる。
しかし、何を持ってイエローか健全かの判断は、今もって不明確である。兵庫県小野市は負担比率が4%代。京都府の南部の市においても一桁のところが目に付く。

「厳しい財政状況の中」と口癖に財政当局は説明するが、果たして、福知山市の財政状況は「健全」なのか「不健全」なのか?苦しい答弁が待っているので、これ以上は言わないが、私自身、この基準の根拠を知りたい。
考えられるのは、将来負担比率を100%以下が健全とすれば、多くの自治体が早期健全化計画を策定しなければならなくなるだろう。200%ではどうだろうか?まだ、多い!そんなやり取りの中で、極めて政治的な判断というか?理論的な判断というより、全国の自治体のバランスを考慮して350%という数字をはじき出した気がする。
そうなると、この数字はあまり意味のないものになってしまう気がした。

経常収支比率が75%から85%に見直された時のように、早期健全化指標も見直しの時が来るように思う。国のそのときの理由付けがどのようなものか、関心のあるところだ。

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